総合栄養食とはなにか。つづき。


こんにちは!

necco舎の はなこ です。



前回の続きです。


未読の方はコチラを最初にどうぞ!

『総合栄養食とはなにか。』 





こんな話もありました。


実験用のネズミは

実験の条件をそろえるために、

世界中どこでも、同じ温度、同じ湿度の環境下で

同じものを食べさせられているそうなのですが


その実験用のネズミたちの餌にはかつて

70%がタンパク質という「CL-1」という

同じフードが使われていたそうです。


そのフードで育ったネズミは

オスは500g、メスは300gになるそうなのですが、

決まって10代目からは子どもを産まなくなるということが判明。



そこで研究者たちは

「CL-2」という、タンパク質が85%も含まれる繁殖用飼料を作ったところ、

メスは平均8匹の子どもを産むようになった、と。



ところが、同じ実験用のネズミに

小麦や小魚や大豆かすなどを混ぜて自然配合のエサを与えると

体重は一回り小さくなるものの、

子どもを平均12匹産むようになったそうなのです。


この自然配合の飼料には、

CL-2の10分の1のタンパク質しか含まれていないのにも関わらず。




子どもをたくさん産めるようになったからいいのかどうか

そこはまた別の問題とも思いますが


少なくとも

自然食ならば少量のタンパク質で体調を維持できていたものが

加工食品では大量のタンパク質が必要だったというのはなぜか?ということを

考える必要があると思います。





タンパク質とか脂質とか、

”栄養素”全般について思うところは、

長くなるのでまた次回書きたいと思っていますが


この実験ネズミの話からなんとなく伝わってくるようなことを

かつての上野動物園の園長で、進化生物学研究所の宗近功博士が

この本の中でおっしゃっています。



「昭和30年代の犬たちは皆、みそ汁ぶっかけごはんで元気だった。

 食材を加工して乾燥させたフードに、

 食べ物としての機能がどれだけあるのか」



この本にも書いてあるし

私も実際に獣医さんから聞いたことがありますが


以前は

獣医師になるカリキュラムの中に、栄養学はなかったそうです。

(現在はどうかわかりません)


栄養学的な講義があったとしても1単位程度で、

しかもフードメーカーの担当者が来て講義をするのだとか。




獣医さんはあらゆる動物を対象にしている上に

内科も外科も整形外科も、

循環器も消化器もあれもこれも診なければならない。


それぞれの動物にはそれぞれの食性があり、

犬と猫と牛では、やはり違うはずですから


全部を学びきれないのは当然かもしれません。


本の中で取材に応じている獣医師も

「獣医がペットの栄養について論じること自体、おかしな話」

と話しています。




それなのに、

動物病院でドッグフードを勧められるのはなぜなのか。



食事についてはフードの事しかわからない、

ということもあるでしょうし

メーカー側の視点からしか学んでいないのだから

そうするしかないのかもしれません。


穿った見方をすれば

フードを販売するこが病院の利益につながるから…という場合も

ないわけではないだろうと思います。

(前述の、我が家の掛かりつけの一つはワクチンを勧めない獣医師ですが

 ワクチンと療法食は利益率が高いとおっしゃいます!)




考えてみると

人間用の総合栄養食なるものは存在しません。


総合栄養食という名の乾物と水だけで人が健康に過ごせるなんて

信じる人がいないからじゃないかな、と思います。



よもやそういうモノがあったとしても

食べたいと思う人はいないでしょう。



でも、愛する犬家族にはそれがいいと思うのは

なぜなんでしょう?



犬たちにも食の愉しみはあります。


我が家の犬たちも

彼らの好きなお魚の日や、

納豆のトッピングがある日はテンションが上がるし

使う食材の匂いで反応が違います。



犬たちだって、

人間と同じように「今日は何かな?」と楽しみにしているはずで

そういう感覚も、食事の大事な栄養の一部じゃないかなと思うのです。



実験ネズミの例でもわかる通り、

自然のままの食材には、加工されたものからは得られない何かが

きっと、確かにあるんだと思えるし



宗近功博士の


「食材を加工して乾燥させたフードに、

 食べ物としての機能がどれだけあるのか」


という言葉も、感覚的にはすごく共感します。




なんだかとっ散らかって着地点がわからなくなりつつありますが><


犬たちの食事のことを長い間考えてきて思うのは

彼らにとって必要なのは、

人間と同じように、

それぞれの食欲や体調に応じた食材そのものであって


いわゆる「総合栄養食」という名の加工食品ではないんじゃないか、

ということです。



健康に生きるために必要なのは

何パーセントのタンパク質と、

何パーセントの脂質と、何パーセントの炭水化物に


ビタミンやらミネラルやら、

いろいろなサプリメントを加えたものではないはず。




そんなことを

久しぶりにこの本を手にしてみて、改めて思いました。



*以前書いた⇩の記事も関連した内容なので、ご興味があれば、ぜひ!

『嗜好性のモンダイ。』






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